栃木県足利市で発生した山火事は未だ鎮火には至っていません。(2月27日時点)
現在、山火事の原因について正式な発表はございませんが、ハイカーのタバコが原因ではないかと言われているようです。
目撃情報も出てきているようですね。
休憩所でタバコを吸っていた方がいたそうですが、なかなか特定は難しいと言われていますね…。
タバコの不始末で山火事が起きてしまった場合、責任や罰則はあるのでしょうか?
賠償金なども発生するのかも調べてみました。
タバコの不始末で山火事!犯人特定で責任や罰則はある?
栃木・足利市の山火事7日目「鎮圧まであと一歩」 https://t.co/jIqt0vz6NP #tbs #tbs_news #japan #news
— TBS NEWS (@tbs_news) February 27, 2021
2月21日に発生した足利市の山火事は、およそ106万平方メートルが焼けてしまいました。
27日で7日目。火の勢いも弱まり、山から立ち上る白い煙も少なくなってきたことが確認できているそうです。
タバコの不始末で山火事が起こってしまった場合、どのような罪になる可能性があるのか調べてみました。
森林失火罪
失火(過失による出火)で森林の火災を生じさせてしまった場合、『森林法』に規定されている『森林失火罪』が成立する可能性があります。
失火罪は不注意でものごとを認識しなかったり、危険を認識していながらそれを止める対策を講じなかった場合に罪に問われます。
火を失して自己の森林を焼燬し、これによって公共の危険を生じさせた場合もこの罪に問われてしまうので持っている山でも気をつけなければいけません。
実際に、山火災を起こしてしまった方がこの罪に問われ判決が出たこともあります。
法定刑は【刑法203条、50万円以下の罰金】です。
キャンプでの焚き火の不始末やハイカーの火の不始末などは、この罪に問われる可能性が高いので充分に注意する必要があります。
重失火罪
もし山火事が民家にまで広がり燃えてしまったりなどの被害が出た場合は、上記の森林失火罪とは別に、重失火罪が成立する可能性もあります。
法定刑は【刑法117条、2、3年の以下の禁錮又は150万円以下の罰金】です。
重失火罪と失火罪との違いは、
「重大な注意力の欠如」があったかどうか。
「わずかに注意を払ってさえいれば失火のリスクを防げたかどうか」
ということです。
失火→不注意
重失火→重大な過失
わずかな注意さえ払っていれば予見・防止できたのに、それを漫然と見過ごしたような状態のことをいいます。
《焚き火をした後、焚き火をした場所とその周辺に水をかけ、しっかりと時間を置いても火が消えたことを確認しその場を離れた。》
このケースは重過失とはならなかったそうです。
ということは、今回の山火事は『タバコの不始末』とのことですが、充分に火を消した状態を確認してからその場を去ったのであれば重過失とならない可能性が高いかと思います。
ですが、火の粉が落ち葉に飛んでしまったなど火がうつる可能性があることをわかった上で、何もせずそのまま立ち去った場合は、もしかしたら重過失に問われるかもしれません。
賠償金は発生するのか?
火災で、土地の所有者がいて損害を発生させてしまった場合は、民事訴訟で損害賠償(慰謝料)などの請求が発生することもあります。
それ以外では、人の行為で山火事となり、材木としての価値の損失という「損害」などが発生してしまうと、通常は「民法709条」不法行為に基づく損害賠償責任を負うことになります。
それが失火責任法です!
民法第709条の規定は、
『失火の場合には適用しない。ただし、失火者に重大な過失があったときはこの限りではない。』
わずかな注意さえ払っていれば予見・防止できたのに、それを漫然と見過ごしたような状態のことをいいます。
《寝たばこの危険性がわかっていながら喫煙していた》
《石油ストーブがついている横にガソリンを入れた瓶を蓋もせずに置いていた》
過去には、高知県の山に小型機が墜落して山火事が起きた事故で、国有林のヤナセスギなど7~8ヘクタールを焼いたとして、国が亡くなられた搭乗男性のご遺族に約4500万円の損害賠償を求める訴訟を起こしたこともあったのだとか!
とはいえ重大な過失がなければ、
山火事の損害賠償責任は負うことはないと言われています。
足利市の火災は現在は山火事のみですが、民家などに火が飛んでしまった場合や、人が命を落としてしまったり怪我をしていしまった場合は、民事で損害賠償が発生することがあるでしょう。
もし山火事で材木としての価値の損失という「損害」に対し損害賠償を払わないといけないとなった場合、どれくらいの金額になるのでしょうか?
「林野庁の調査では、国内の山火事による焼失面積は年間約1000ヘクタールで、損害額は約4億8000万円です。単純計算で山林70ヘクタールならざっと3300万円を超える。消火活動にかかった費用は請求されませんが、サラリーマンが右から左で払える額ではありません」(ジャーナリスト・岩波拓哉氏)
引用元:日刊ゲンダイ
10,000ヘクタールで約4億8,000円。
栃木県足利市の山火事は、26日時点で106ヘクタールが焼けてしまったとのことなので、単純に計算しますと、約5,800万円ほどの賠償額となります。
実際には、この金額が法定で判決となるかはわかりませんが、賠償問題となった場合、なかなか厳しい金額となってしまいますね…。
まとめ
【足利市山火事の犯人特定で責任や罰則はあるのか?賠償金は発生する?】について調査しました。
罪としては、「森林失火罪」「重失火罪」に問われてしまう可能性があるということがわかりました。
そして、賠償金に関してはもし発生してしまった場合、かなりの大きな金額になってしまうかもしれません。
焚き火やたばこは身近にあって、誰でもできるものですが、火を使う場合は本当に注意が必要です。
足利市の山火事は27日時点で、ほぼ鎮火か?と言われています。
早く近隣住民の方が安心して自宅で過ごせるようになることを願います。